2020-01-01から1年間の記事一覧

冬について

真っ直ぐに投げたはずの言葉がことごとく白く濁ってしまうのだ。 それはこの季節のせいです。 そう結論をつけます。 最近は水っぱなが収まらす、指の悴みがぬくまらない。それらを堪えながら、蒸発するように寒空にのぼってゆくオーブを追いかけている。 そ…

台風

それはそれは目まぐるしい速度さ。 今夜くらいアパートの外壁を打ち付ける痛々しい風の音に隠れ、鼻歌の一つや二つ許してくれよ。今夜くらいあの安如泰山なコンクリートの街をハロウィンのクラブみたいに揺らしてくれよ。今夜くらい肘つっぱりっぱなしのあい…

なげえけど、できたらぜんぶよんで

無数に近い文字の海を潜りながら、そこから一際暖かいものだけを手繰り寄せて持ち帰る。その行程は割と俺を満たしてくれるし、インプットした文学的趣向は、恥ずかしながらリリックに顕著に現れる。きっと俺は、好きなものから直で影響を受けるタイプです。 …

ハレルヤ

水垢浮かぶ鏡があからさまに〝寝起き〟といったようなふてっこい表情とそのド真ん中に座る潰れっ鼻を映し、「これは俺だ」と確認する。朝が来たってまぶたの裏は居心地が良くて、その余白を埋める作業を永遠に続行していたい。夢の中での俺はアルビノの子鹿で…